ふらびズムエリアにある駅を訪ね、そこから眺める風景にその街(集落)の歴史や在り様に思いを巡らせるシリーズ、「駅から眺める風景」の第3回目は、JR幾寅(いくとら)駅です。
JR根室本線 幾寅(いくとら)駅
幾寅(いくとら)駅までの所要時間は、JR富良野駅から約50分で、1902年(明治35年)に開駅したJR北海道根室本線に所属する無人駅です。南富良野町の東部、幾寅にあり、国道38号、道の駅南ふらの、商店街、住宅地が、公共機関などが集中している場所にあります。地名の由来は、アイヌ語「ユクトラシ」=「鹿が山を越えて行った場所」だと地元観光協会から教えてもらいました。
列車を降りて幾寅駅のホームに立つと、木造の駅舎がかなり下にあるのが分かります。そして、「鉄道員ようこそ幌舞駅へ」と大きな看板が掲げられ、その幌舞駅の文字の下に、カッコ書きで幾寅駅と本来の駅名が記してあります。
幌舞(ほろまい)駅とは、浅田次郎氏のベストセラー小説「鉄道員(ぽっぽや)」に登場する架空の駅です。1999年、映画化された時に幾寅駅を幌舞駅に見立て撮影が行われました。廃線間近のローカル線で働く、仕事一筋の駅長を高倉健さん、その妻を大竹しのぶさんが演じました。映画公開から約14年が経った現在(2013年)、幾寅駅は、その周辺も含めて幌舞駅の面影を大切に保存・展示しています。
駅舎の約半分は、映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケーションの記念展示コーナーです。そこに「幾寅駅」が「幌舞駅」に選ばれた理由が書かれていました。「駅舎とホームの行程に段差があり、階段でつながっているので駅舎からホームに行くまでの『ため』・『情感』が表現されている」からだそうです。駅前の敷地にも、映画に使用された食堂や理容室などのオープンセットが展示されています。駅を降りても、その時代にタイムスリップしたような昭和のノスタルジックな感覚が味わえます。
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